迷子のコイ
----------------しばらくして、
あたしの涙が
やっと乾きはじめたころ、
ふと
窓の外に目をやると
さっきまで青かった空が
茜色にかわっていた。


いったいどれだけの時間、
あたしはナギとここにいたんだろう。


「・・・おちついた?」


ナギのやさしい声に
あたしは、ちからいっぱいうなづいた。


「・・・もう、大丈夫・・・」


そう言って、
やっと顔を見せたあたしにナギは、


「あんた、鼻でてるよ・・・」


「えっ・・・・!」


そう言って、ポケットからテイッシュをくれた。


「ナギ、ちょっと待っててね・・・」


あたしはナギから受け取った
そのテイッシュを持って、
ここから1番近いトイレへと駆け込んだ。

そこで思いっきり鼻をかんだあと
鏡に映ったじぶんの顔は
今まで見たこともないくらいに
ひどく ブサイクだった。



< 23 / 203 >

この作品をシェア

pagetop