迷子のコイ
「ひどい・・・カオ・・・」


鏡に映ったあたしのカオは
パンパンにむくんでいた。

白目の部分は充血して
カオには
涙の筋がいっぱいついていた。

ほっぺも鼻も赤くなってて
・・・まるで酔っ払いみたい。


( ・・・どうしよう・・・ )



・・・すこしだけ、迷ったけど
手洗い場の蛇口を全開にひらいて
あたしはそこで
パシャパシャと
カオを洗いはじめた。


( ・・・キモチ イー・・・ )



『トイレの手洗い場』っていうのが
気になったけど
それでもほてったカオに
その水は、とても気持ちがよかった。

その水の冷たさに
あたしは
やっと少し、
冷静さが取り戻したように感じた。


「よしっ!!」


パン パンッ と

あたしは自分の顔を両手で叩いて
ナギの待つ場所へとむかう。







「アイリ!」


あたしを見つけたナギは、
笑顔であたしを待っていてくれて、

まるで
何もなかったかのように
話しかけくれるナギに
あたしは感謝のキモチでいっぱいで
ムネが、痛かった・・・。







< 24 / 203 >

この作品をシェア

pagetop