迷子のコイ
・・・教室にもどると
そこにはもう、誰もいなくて
夕日がすべてを包み込むように
教室が朱く《あかく》、色づいていた。
「1番、最後みたいだね」
そう言ってナギは
アタシのカバンを取ってくれた。
アタシは、ナギから受け取った
そのカバンをじっと見ながら
どこかホッとした自分を感じていた。
「カバン、無事だったね・・・」
思わずそうこぼした
アタシの言葉に
ハッとしたように、
ナギがこっちを見る。
「・・・もう子供じゃないから、大丈夫でしょ」
ナギはそれしか言わなかったけど
多分ふたりの頭のなかには
同じことが浮かんでいたと思う。
小学校の頃、
イジメられっ子だったあたしは
よくクラスの男子に
かばんを隠されていた。
教科書をやぶられたりとか
燃やされたり、
そんなヒドイことはされなかったけど
何人かに取り上げられたかばんを
いつも一緒にさがしてくれた
ナギの姿を思い出す。
もしナギが男の子だったら
きっとスキになってたって思うよ。
そこにはもう、誰もいなくて
夕日がすべてを包み込むように
教室が朱く《あかく》、色づいていた。
「1番、最後みたいだね」
そう言ってナギは
アタシのカバンを取ってくれた。
アタシは、ナギから受け取った
そのカバンをじっと見ながら
どこかホッとした自分を感じていた。
「カバン、無事だったね・・・」
思わずそうこぼした
アタシの言葉に
ハッとしたように、
ナギがこっちを見る。
「・・・もう子供じゃないから、大丈夫でしょ」
ナギはそれしか言わなかったけど
多分ふたりの頭のなかには
同じことが浮かんでいたと思う。
小学校の頃、
イジメられっ子だったあたしは
よくクラスの男子に
かばんを隠されていた。
教科書をやぶられたりとか
燃やされたり、
そんなヒドイことはされなかったけど
何人かに取り上げられたかばんを
いつも一緒にさがしてくれた
ナギの姿を思い出す。
もしナギが男の子だったら
きっとスキになってたって思うよ。