迷子のコイ
授業が始まる前の
S・HR《ショート・ホームルーム》

うちのクラスは
担任がテキトーだからか
こないことが多い。

だから授業が始まる前までは
うちのクラスはかなりうるさくて
よく隣りのクラスの先生が
注意にやってくる。


今日も、また。



「こら! お前たちうるさいぞ!!
 すこしは静かにしろ!!」


すこしハゲタ頭の
隣りのクラスの担任・ミムラが
ドアをあけたと同時に怒鳴りだす。

入学したころは
そのあと静かになってたけど
最近ではもう
その効果は全然ない。


みんなテキトーに

「は~い」って返事して
ミムラの姿が消えたとたんに
またワイワイと騒ぎだす。

あたしも、
もちろんそのなかのひとり。



「ねぇ、アイリさぁ、
 今日の髪型マジかわいくない?」


「あっ! あたしもそー思ってたぁ!」


クラスの女の子から
そんな言葉がとびだした。

あたしは、自分でやったわけでもないのに
鼻高々でみんなに言った。


「ふっふっふっ。でしょぉ~!
 今日はね、ナギにやってもらったんだぁ」


「えっ!そーなの?
 ナギすご~い!!」


「ねねっ、ナギ
 今度あたしにもやって!」


 「えっ・・・いーけど・・・」



ナギはチラッとあたしを見て

『よけーなこと言って~』ってカオをした。

あたしはそんなナギに気づいていたけど
知らないフリをして
ほかのコとおしゃべりを続ける。





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