迷子のコイ
「あ、そーいえばナギ
 俊哉からおカネもらった?」


あたしは思い出したようにナギに言った。


「あ! ・・・忘れてた!!」


「多分 俊哉のことだから、
 むこうも忘れてるよぉ~?」


「だよねー!
 よし! あとでアイツのクラス行ってくる!
 ・・・・・あんたは? どーする?」


ナギがさりげに聞いてきたけど、
あたしは昨日の
俊哉のクラスの男の子たちが
ちょっと怖かった。


( また興味本位で見られるのはイヤだなぁ )


そんな気持ちもあって
ナギからのお誘いを
丁重にお断りした。

ナギもあたしの気持ちがわかったのか
それ以上は誘わずに


「わかった」って


ひとこと言った。




それ以上、その話題にはふれずに
あたしたちはみんなで
束の間のおしゃべりを楽しんだ。

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