迷子のコイ
「大丈夫?」


「えっ」


「相原先輩!
 3年でしょー。
 大学受験まえなのに ふっちゃってさ!
 落ちたらあんたのせいだって
 言いかねないじゃん」


「あ~・・・」



正直、そこまで考えてなくて
ちょっと後悔した。


「そと、行かない?」


今日はなんだか
まわりの喧騒がわずらわしくて
あたしはアイリに言った。







4Fの教室から廊下に出て、
ちょうど階段を下りようとしたとき、
聞きなれた声がうしろからして、


「おい ナギ、アイリどこ行くんだ」


「俊也」


あたしは、その人物の名前を呼んだ。




日下 俊哉《くさか としや》------は、


中学時代からの友達で
高校に入学して
クラスは離れちゃったけど
困ったことがあったときは
いつもそばにいてくれる、
大事なトモダチ。






「ちょっと、コンビニ」

ナギが言った。


「あ、マジで!
 じゃあさ、俺にアイス買ってきてくんない?」


そう頼んだ俊哉の目の前に
ナギが
思い切りよく手を出した。

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