迷子のコイ
『冬は、つとめて。
 雪の降りたるはいふべきにもあらず。
 霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、
 火など急ぎ熾して、炭もて渡るも、いとつきづきし~』


清少納言の『枕草子』


先生の読む、
その『冬のくだり』が急に、
耳にはいってきた。


古典の授業は、スキ。


何を言ってるのか
訳《やく》をよまないと
わかんないトキもあるけど、
むかしの文章って
ひとつの音楽のように
きれいだなぁって、思う。


古典の成績は決して良くないけど
だれかがスラスラと読む
昔の文章は
なんて耳ざわりがいいんだろうと
目を閉じ
ほおづえをつきながら、考えていた。






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