迷子のコイ
「ないないない!
 ずぅえったい、アリエナイから!」


あたしは大爆笑しながら、ふたりに言った。


「だって、俊哉だよ?
 ずっとトモダチだったのに
 そんなこと今さらアリエナイないから!」


あたしのあまりの爆笑ぶりに、
ふたりとも
なぜか納得したみたいだった。


「う~ん、そうかぁ。
 アイリはナシ、か」


「まぁ、そーだよね。
 アイリ、カレシいたもんね!

 ・・・・えっ!!
 また別れたのぉぉぉぉぉぉ!!」


『先輩』と別れたことを
ナギ意外ではじめてふたりに話したのを、


「まぁ、いろいろあるよねー」


サヤカがそんなふうに言って
フォローしてくれた。


「・・・ねぇ、じゃあさ・・・」


むっちがなぜか声を低くした。



「・・・ナギと俊哉くんはさ、
 どーなんだろーね」


「あのふたりだって、仲いーよねぇ。
 ねぇ、アイリどーなの?」


「どーなのって言われても・・・」


あのふたりにそんな雰囲気あったっけ?
あたしは中学時代のふたりを
走馬灯のよーに思いだそーとした。

腕をくみながら
いくら考えても
いっつもナギに怒られてる
俊哉の姿しか浮かんでこない。


「う~む・・・。
 あのふたりは、親子だな」


あたしの口からでたその言葉に


「それ、あんたのことじゃないの?」


ふたりがまた、口をそろえて言った。





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