迷子のコイ
「でも、俊哉がそんなに人気あるなんて
 知らなかったなぁ」


あたしは持ってきたチョコをたべながら呟いた。


「中学のときは?
 俊哉くんならモテたんじゃないの?」


「中学の・・・トキ?」


あたしはまた
中学時代のトシヤを
走馬灯のよーに思いだそーとした。

でも、やっぱりナギに怒られてる俊哉しか
浮かんでこない。


「・・・・あ!」


ひとつだけ思いだした。

そーいえば1度
ちがう中学のコが俊哉に会いにきてた。

他校の子に告白されたって
学校中のウワサになったことがあったっけ。


「ねぇ、それでどーしたの?
 つきあったの?」


「ううん」


あたしは首を横にふった。


たしかそれから何日か後に
そんな話題になって
俊哉に聞いてみたら

『付き合わない』って言ってた。


『なんで?』ってきいたら

たしか

『スキなコがいるから』って答えてたカモ。


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