迷子のコイ
「・・・『カモ』って、アンタ・・・」


「ねぇねぇ、それで
 その俊哉くんのスキなひとって?」


「えっ? たしかあのときは・・・」


あたしはまた
その時の記憶を一生懸命
検索しはじめた。


「あのときは・・・たしか・・・」


「『たしか』?」


「『ふ~ん、そーなんだ』って言って
 会話、おわっちゃった気がスル・・・」


あんまり役に立たない情報だなぁって
自分でも思ったあたしは
頭をかきながら、ふたりに言った。


案の定、ふたりは
ガクッと肩をおとしながら


「アイリだもん、しょうがないよね・・・」


「しょうがないよ・・・アイリだもん」


なんて、失礼なことを言い始めた。
< 47 / 203 >

この作品をシェア

pagetop