迷子のコイ
「ん~・・・
 とりあえずは続けてるみたいだけど、
 終わってから週2で
 コンビニはじめたみたいだよー」


「・・・へぇ、バイトかぁ」


「うちらの家の近所らしーから、
 今度、いってみる?」


「うん!!
 あ、じゃあ今度俊哉に
 アイスおごってもらおっと!」




ウキウキしている
あたしたちの会話を聞いてたふたりが


「・・・・・やっぱ、ナイか?」


「やっぱ、ナイ・・・ね」



不意にそんな言葉をもらした。




「ナイって、なにが?」


ナギが訊いた。


「ううん、なんでもナ~イ!」


今日はなんだか
息ピッタリのふたりを見ながら
あたしは笑った。

きっとふたりとも、
さっきの
『コイバナ』のことを言ってるんだって
すぐわかった。


でもそのハナシに
不参加だったナギは
『全然ワカンナイ』って顔をして
首をかしげた。

トシヤからもらった
その2千円を
大切そうに、ポケットにしまいながら。

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