迷子のコイ
「・・・それじゃあな」


「じゃあね、アイリ。
 また明日!」


「うん、またね!
 送ってくれて、アリガト」


家まで送ってくれたふたりに
あたしはお礼を言って
家のなかに入った。


「ただいま~」

そういいながら
家に入ったとたんママに


「おかえり~。
 ・・・あら?
 アイリその服、なぁに?」


「えっ?」


ママに言われてはじめて
あたしはさっき
俊哉から借りた上着を
着たままだったことに気づいた。


「あ~!! 
 俊哉に返すの忘れちゃったぁ!」


あたしはママに
『すぐ戻るから』って言い残して
さっき入ってきたばかりの
玄関を、もう一度通過した。


送ってもらってから
時間がたってないから
まだその辺にふたりは、いるはず。


あたしは軽く小走りになりながら
ふたりのあとを追った。


するとすぐ、
ふたりの影を発見できた。

ちょうどナギの家に向かう
曲がり角を曲がるトコだった。





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