迷子のコイ
「ナギぃ」


あたしは夜遅いこともあって
あまり大きな声は出せずに
遠慮がちにナギを呼んだ。

でもその声は
やっぱり届かなかったみたいで
ふたりはそのカドを曲がっていった。


そして、ちょうどあたしが
カドを曲がろうとしたとき、


「うそでしょ!」


ナギのそんな声が聞こえてきた。





( ・・・ナニ?・・・・ )


あたしはなんだか
入っていってはいけない雰囲気を感じて
カドを曲がるのやめ、
その場で立ち止まった。



「俊哉、ねぇ・・・ウソでしょ」


ナギの失意に満ちた声が聞こえる。


「・・・いや・・・」


しばらくの沈黙のあと、俊哉が言った。


「青木たちに言われて
 俺も見に行ったから、
 マチガイないと思う・・・」


(・・・青木・・・?)


もしかして、中学のときの?


あたしはただならぬ雰囲気に
息をのんだ。


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