迷子のコイ
「ねぇ、あんたたち・・・
 なんで数学だけ
 こんなにできないわけ?」


夜7時。
俊哉の家で夕飯をごちそうになった
あたしたちは、
また机にむかいはじめた。


あたしたちは4人で集まって
あさってからのテスト勉強をしている。


「数学こそ公式さえ暗記すれば
 簡単に点とれるのに!」


理数系がとくいなナギは、
異常なほど数学のできない俊哉とあたしに
何度も頭をかしげた。


「・・・だって」


「なぁ・・・」


俊哉とあたしは目をあわせた。



「・・・こんなのは、ようは『慣れ』だろ」



俊哉の隣りに座ってた
佐伯くんがそう言った。


「とりあえず、公式だけ覚えて
 あとは何問も解けばおぼえるだろ」


佐伯くんのその言葉に
ナギはうなづいた。


「それじゃあ、とりあえず・・・
 早坂、こいよ」


「えっ」


佐伯くんがあたしの名前を呼んだ。





 
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