迷子のコイ
「そっちはどう?」


ナギが佐伯くんに話しかける。


「とりあえず、なんとかなりそー。
 そっちは?」


「・・・・ビミョ~」


俊哉をチラッと見ながら言った
ナギの言葉に、
その視線に気づいた俊哉が
憤慨する。


「おい! ビミョ~ってなんだよ!」


「・・・だってアンタ、
 さっきからカケルくんばっかり
 見て、全っ然覚えないじゃん」


「げっ、キモイ!!」


「ばっ・・・見てねーよ!!」


真っ赤になりながら
予想以上にムキなる俊哉に
みんな大笑いした。


時計が8時半を過ぎたとき


「俺、そろそろ帰るわ」


4人のなかでは
1番家の遠い佐伯くんが言った。
カレのその言葉に誘われるようにして
あたしも言った。


「あ、あたしも!
 ・・・あたしも・・・もう帰る」




それが、はじまり。





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