迷子のコイ
「沙紀・・・アンタいいかげんにしなよ」


すこしのあいだ
黙ってみていたナギが
沙紀ちゃんにくってかかった。


守るよ―にして
あたしの前に立ったナギを見て、
あたしはおどろいた。


( ナギ・・・・まっさおだよ )



「ナギ!」


ナギの額から、
にじんだ汗が流れだしてた。


「ねぇ、ナギ!!」


「ナギ、あんたね何様のつもり?」


あたしの声は、
沙紀ちゃんの声にかき消された。


「いっつも いっつもいい人ぶってさぁ。
 あんたのその態度、超ムカツクんだけど!」


「・・・だったら最初から、そう言えばいいでしょ」


ナギのその態度に、
沙紀ちゃんは
ますます腹を立てたみたいだった。

沙紀ちゃんのうしろにいるふたりも
予想外のことに
オロオロしてるのがわかる。


でもあたしはそんなことよりも
ナギの顔色の悪さのほうが心配だった。


・・・そうだ。
思えば お昼休み、
ナギの顔色がいつもより白く見えた。

あれは、気のせいじゃなかったんだ。

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