迷子のコイ
「こんなに熱があったら
 だいぶつらかったでしょうに・・・。
 多分、朝から熱があったはずよ」


保健の先生はあたし達に言った。


「とりあえず、
 おうちの方に迎えにきてもらわなきゃね。
 あなた達、連絡先はわかる?」


あたしはすぐに
覚えてるナギの家の番号を先生に教えた。

先生はすぐにその番号へ電話をかけた。
電話には、ナギのお母さんがでたみたいだった。




「・・・はい。はい。
 それではお願いします」

そう言って受話器を置いた先生は
ナギのそばにいたあたし達に視線をうつした。


「お母さまが迎えに来てくださるそうだから、
 あなた達はもういいわよ。 
 まだ授業中でしょ」


「・・・先生・・・
 あの、迎えがくるまで
 そばにいちゃダメですか?」


あたしが聞いたその言葉に
先生は一瞬、迷ってたようだったけど
すぐに言ってくれた。


「・・・いいわ。
 だけど、静かにね」
< 89 / 203 >

この作品をシェア

pagetop