迷子のコイ
「・・・・・ごめん」


ナギが、言った。



「ううん、あたしこそ・・・ゴメン。
 だけど、この話はしないで・・・」



「アイリ・・・・・」


「行こっ、ナギ。
 アイスとけちゃうよ!」


あたしは
ナギの心配顔を吹っ切るように
おもいきり元気よく、そう言った。





( ごめんね、ナギ・・・・・ )


ナギが心配してくれてるの、
ホントはすごくわかってるんだ。

こんなあたしと
ずっと仲良くしてくれてることも
感謝してるよ。


でも、ごめんね・・・。


アイツのことが忘れたくて
いろんな人と付き合ってきたけど、
・・・なんでだろう。

アイツだけが
あたしの中から消えてくれなくて
ふられたのに、
まだアイツに会いたいよ。


( ごめんね、ナギ・・・・・ )


ホントは全部きいてほしいけど
言葉にすると、
きっとうまく言えないから
なにも言えなくて・・・。


『・・・ゴメンね・・・・』


あたしは
子供の頃からずっとそばにいてくれる
ナギの背中をみながら
そうつぶやいた。













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