迷子のコイ
ナギのママが
迎えに来てくれるまでの短い時間
ナギの眠るベッドの横に
まぁるいイスを2つ置いて
俊哉とあたしは
苦しそうに眠る
ナギの寝顔をじっと見ていた。


「・・・ねぇ、俊哉」


「ん?」


「・・・ナギ、なんで休まなかったのカナ。
 こんなに熱・・・あったのに・・・」


「・・・・・・・・・」


すこしのあいだ静まり返った保健室で
俊哉はゆっくりと
言葉を選びながら話しだした。


「オマエ、誤解すんなよ」


「誤解?」


「・・・コイツ、ナギさ、
 言ってたんだよ。
 今週からバレーの授業になるって知ったとき
 ・・・コイツ、言ってたんだよな。
 『絶対休めない』って」


「『休めない』?」


髪をかきながら、心配そーなカオをして
俊哉はチラッとこっちを見る。
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