迷子のコイ
「バレーってさ、女子の場合
 基礎練習みたいなのもやるだろ?
 2人1組とかになって、さ。
 『自分が休んだら
 オマエがひとりになるカモ』って・・・」


「・・・ナギが、そんなことを・・・?」


「こないだうちで、
 勉強会やっただろ?
 オマエが先にカケルと帰った日・・・。
 あのとき、言ってたんだよな」


俊哉から語られたその話は
あたしが初めて聞く、
ナギからの言葉だった。


こんな熱をだしながらも
さっき、体育館でも
アタシをかばおうとしてくれたナギ。


体はすごく
つらかったに決まってるのに・・・。


あたしは目の前で眠るナギを見ながら
ナギからの思いに
涙が出て、とまらなかった。
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