迷子のコイ
Act.7 きみの声
「アイリ!!」


「・・・俊哉、佐伯くん・・・」


学校の玄関から出たあたしを、
ふたりが呼び止めた。

制服のあたしとは違って、
ふたりはこれから部活動。
きっと様子を見に、
わざわざ待っていてくれたんだと思う。


「帰るのか?」


「うん、帰りにナギの家、
 よって行こーと思って」


「そっか」


「それじゃあね!」


あたしは手を振って
ふたりと別れた。


ナギが倒れたのは
ついさっきのことだから、
もしかしたらまだ会えないかもしれないなぁ。

そんな事を考えながら
ヒトリで帰ろうとしたその時だった。


「早坂!!」


うしろから、声をかけてきた男のコがいた。

俊哉でも、佐伯くんでもない
もっとかすれた、高い声。

あたしはその声のほうを振りかえった。


「・・・タカ・・・くん」





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