迷子のコイ
「・・・ねぇっタカくん、
 今日部活は?
 さっき俊哉たちは部活に行ったよ?」


すこしずつ生徒の増えてきた
下校時間を気にしながらあたしは尋ねる。


「あ~今日はいーんだ」


あたしの気持ちにまったく気づいてくれずに
タカくんは言った。


「でも、試合が近いんでしょ?
 俊哉が言ってたよ」


あたしは、なんとか離れよーと思って
カレに部活にいくよーに進めてみた。

すると、何かマズイことを言ったのか
タカくんの顔が
見るからに不機嫌になっっていった。


「・・・早坂さぁ、
 さっきからトシのこと気にしてるみたいだけど
 トシとつきあってんの?」


「・・・トシと!? 付き合ってないよ!」


・・・・・言ってから、ウソでも
『付き合ってる』って言ったほうがよかったなーって
少しだけ思った。


カレは急に笑顔になって
あたしと一緒に下校しはじめた。


色々遠まわしにお願いしてみたけど
タカくんには
そーやら通じそーもない。

あたしは思い切って、
カレに
『迷惑だ』って言おうとした。



 
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