迷子のコイ
「あのねっ タカくんっ・・・!」


「タカ!」


あたしたちの後ろから
聞いたコトのある声がした。


無表情でこっちに歩いてきたのは、
佐伯くん・・・だった。


「何、やってんだよ」


佐伯くんはタカくんにむかってそう言った。


「・・・佐伯」


「試合近いんだから、早く練習にこいよ」


「・・・わかったよ」


さっきまでは
部活に出る気のなかったタカくんが
佐伯くんのひと声で、
すぐにカレに従った。


「・・・じゃあな、早坂」


タカくんがそー言い残し
校舎のほうへと戻ってく。

あたしはホッとした気持ちで
胸をなでおろした。



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