迷子のコイ
「あら、アイリちゃんもう帰るの?」


熱をだしたナギのお見舞いに
学校帰り、寄ったあたし。

ナギの様子を見に立ち寄ると
おばさんはすぐにあたしを
ナギの部屋へと通してくれた。



あのあと――――――――
保健室まで迎えにきたおばさんは
車でまっすぐに
ナギを病院につれていったらしい。


「注射されたよぉ」


そう言って注射の跡を見せてくれた
ナギだったけど
その注射のおかげで
一時的に熱は
ひきはじめたらしくて
保健室にいた時よりもずっと
ラクそーに見えた。


「明日には治るから!」


そう言って
無理矢理笑顔をつくろうとするナギをみて、
あたしは胸が痛くなった。


「明日には、ムリだよぉ」


ナギがあたしのために
ムリして学校に来ようとしてくれていることが
よくわかる。


そんなナギに、
あたしはあのあと学校であった
ナギのしらない出来事を
ナギにおしえた。
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