迷子のコイ
「・・・あのねナギ。
ナギが病院にいったあと
教室に戻ったでしょ。
そしたら何人かのコが
『ナギ、大丈夫なの』って声をかけてくれたよ」
―――――――2ヶ月近く、
クラスの女のコたちに
総ムシされてきたあたしにとって
それはとっても驚くことだった。
それでもまだ
一緒に帰ったりはできないけど
『声をかけてもらえるうれしさ』を
あたしはそのとき
身をもって知った。
ナギはベッドに横になりながら
「よかったね」
って笑ってくれた。
ナギがたおれたこと、
さっき、佐伯くんに言われたこと、
今日はつらいことがいっぱいあったけど、
ひとつだけ、いいことのあった日だったよ。
「あ・・・・」
「・・・なに?」
佐伯くんのことを思い出して
胸がチクン、と痛くなったとき
あたしはふと
今日あった
もうひとつの出来事をおもいだした。
『タカくんの、こと―――――』
「・・・なにかあったの?」
無言になったあたしに
ナギは気遣った声で聞いてくれた。
・・・迷った、けど。
あたしはこれ以上
ナギを心配させちゃいけないと思って
タカくんのことを言うのはやめた。
ナギが病院にいったあと
教室に戻ったでしょ。
そしたら何人かのコが
『ナギ、大丈夫なの』って声をかけてくれたよ」
―――――――2ヶ月近く、
クラスの女のコたちに
総ムシされてきたあたしにとって
それはとっても驚くことだった。
それでもまだ
一緒に帰ったりはできないけど
『声をかけてもらえるうれしさ』を
あたしはそのとき
身をもって知った。
ナギはベッドに横になりながら
「よかったね」
って笑ってくれた。
ナギがたおれたこと、
さっき、佐伯くんに言われたこと、
今日はつらいことがいっぱいあったけど、
ひとつだけ、いいことのあった日だったよ。
「あ・・・・」
「・・・なに?」
佐伯くんのことを思い出して
胸がチクン、と痛くなったとき
あたしはふと
今日あった
もうひとつの出来事をおもいだした。
『タカくんの、こと―――――』
「・・・なにかあったの?」
無言になったあたしに
ナギは気遣った声で聞いてくれた。
・・・迷った、けど。
あたしはこれ以上
ナギを心配させちゃいけないと思って
タカくんのことを言うのはやめた。