彼のとなり、彼女のとなり
私は先生の顔をなるべく見ないように意識する。

頬杖を付き、窓から外を眺めていた。

『ここから あの桜並木がよく見えるんだ…』

桜を見てたら、あの時のカメラ野郎の顔が 頭の中を過ぎった。

『…馬鹿らしぃ…』
思い出しただけで、胸の中がムカムカして嫌な気持ちになる。

「…えだ、上田!」

「あっ、はい。」

先生に呼ばれた事に気付かず、慌てて返事する。

「ちゃんと先生の話し聞くんだぞ。もう少しでテストも始まるんだからな。」
「…すみません。」

先生に注意されてしまった。溜息と同時に終わりのチャイムが鳴った。
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