彼のとなり、彼女のとなり
チラっと健吾を見る…。


ずっと何も言わずただ海を見てる。


声をかけようとしても何を言えばいいのかわからない。


このまま気まずいままは嫌だな…。


思い切って話しかけようとした時……


「さっき…」


「えっ…?」


健吾が私の方を見て話しかけてきた。


私は子供のように笑顔になった。
健吾が私の方を見てくれた、話しかけてくれたことが素直に嬉しかった。


「さっき会った人…、前にミキが言ってた片思いしてる先生か?」


真っ直ぐな目で私を見る。そんな彼に胸の鼓動が早くなった。


私は黙って頷いた。


「そっか…見てて何となくわかったよ。」


「山川さん…」


「今日はごめんな、突然学校の前で待ってたりして。」


健吾は風で乱れる髪をかきあげながら 笑顔を向けた。
その顔を見て、自分自身の中で何かスッキリしない嫌な感情になっていた。
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