彼のとなり、彼女のとなり
職員室まで着く間、私の足どりは重かった。

それは、まだ先生の事を忘れてないから。

今日、何度目かの溜息が出た。

「失礼します…」
テスト前は 職員室の中に入れないから入口の所で 先生を探す。

「あっ、上田か…?」

奥の窓側が先生の場所。
私が来たのをすぐに気付いた先生は、私の所へと歩いて来た。

下を向きながら強引にプリントを渡す。
露骨過ぎる自分の態度に 胸の奥が締め付けられた。
< 12 / 159 >

この作品をシェア

pagetop