彼のとなり、彼女のとなり
カシャッ…、カシャッ!


「…あのぅ、歩いている時は写真止めません?」

「ん?どうして?」

まったく、悪びれた感じがしない顔をされて何も言えなくなった。

黙って健吾の後を追って来たけど、かなり歩いたように思う。

健吾には健吾の考えがあるのかも知れないけど、時々 理解に苦しむ時がある。


「ここ、俺が通ってた小学校。で、向こうが中学校なんだ。」

足を止めて言われた所は小さな小学校。
木造が時代を感じて珍しかった。

懐かしそうに学校を眺めていた健吾が呟く。


「行こうか?」

「えっ…?」


返事をする余裕もないほど 私の腕を掴み 校舎へ向かった。


「誰かに見つかりますよ」

「大丈夫、夏休み中は誰も来ないよ!」

「それに決めてたんだ…、ミキに俺の通ってた学校とか、よく遊んでた場所を見せようって…。少しでも俺のこと知ってもらいたかった。ミキはつまらないか?」
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