彼のとなり、彼女のとなり
「若菜、すっげぇ可愛い!」


俊君のストレートな気持ちが伝わったのか、顔を赤くしている若菜が可愛らしく見える。


健吾はと言うと…。

黙って私を見てるだけ。

私も健吾から何か言って欲しいな…。

そんな私を見て察したのか、お母さんが口を挟んできた。


「ほら、健吾もミキちゃんに何か言ったら?」


「………」


それでもまた無言のままな健吾…。


やっぱり似合ってないのかなと思ってしまう。


「あ…、やっぱり私洋服に着替えて来ようかな…」


健吾から何も言われなかった事に淋しさを感じながらも、無理に笑顔を作って部屋に向かおうとしたとき……、


「えっ……?」


気付いた時には 健吾に手を捕まれ、そのまま外に連れ出された。


「山川さん…?」


背中を向けたままの健吾に声をかける。


「あっ、ごめんな。ビックリしたよな…」


話しかけられて ハッとしたのか、ぎこちない笑顔を見せ振り向いた。
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