彼のとなり、彼女のとなり
「写真、撮ってもいいかな?」


「うん…」


場所を変え、テラスの方へ向かう。
そんな時でも健吾はカメラを構え、私を撮り続ける。


「浴衣なんてあまり着ないから、自然な動きも大変です。」


「でも、普段と違う格好はまた新しいミキを見れて良いよ。」


テラスで撮影しながら他愛もない会話をする。
周りに誰もいなくて、カメラのシャッター音が良く聞こえる。


私がテラスから降りようと階段に足を踏み込んだ瞬間、足がもつれてしまい転びそうになった。


「きゃっ!」


「ミキ危ない!」


怖くなってとっさに目を閉じてしまった。
健吾に手を捕まれた感覚は気付いてる。
ドタドタっと激しい音が聞こえる。


“私、落ちたの?!でも痛くない…”


閉じていた目を静かに開けると、私を守るるように抱きしめた状態で健吾が下にいた。


「痛った〜。ミキ大丈夫か?」


こんな状況でも健吾は私に笑顔を見せる。


「私は平気。山川さんは?怪我してない?あっ!カメラは?どこ?」
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