彼のとなり、彼女のとなり
「なぁ、ミキ?」


「……」


「ミキちゃ〜ん?」


「……」


「急に黙っちゃてどうしたのかなぁ〜っ?」


「話す事がないから黙ってるだけです」


射的の後から私達の会話はあまり弾まなかった。

いつもと違う私の態度に気付いた健吾は、わざとらしい態度で明るく振る舞ってくる。

途中で買ったかき氷を無言で頬張る。

あまり美味しくなかった…。


「すきありっ!」


「あっ!」


食べかけのかき氷を素早く食べられてしまった。


「ひっど〜い、最後の一口だったのに〜!」


頬を膨らませ、軽く健吾を睨んでしまった。

子供っぽいかもしれないけど、そんなこと今は関係ない。


でも、健吾はホッとした顔を見せ、笑顔で私の頭を撫でてきた。


「な、何するんですか!?」


いきなりだったので、かなり動揺してる私。


「やっとミキが喋ってくれたから嬉しいんだ。」


こんなことをさらりと言う健吾。
< 138 / 159 >

この作品をシェア

pagetop