彼のとなり、彼女のとなり
「やっと名前呼んでくれた…」


後ろから抱きしめられ息をあげている健吾。


「…遅いですよぉ…」


「ごめん、これ買いたかったんだ…」


健吾は息をあげていても 私に笑顔を見せてくれた。

「ミキ、手を出して」


「手…ですか?」


言われた通りに右手を差し出した。


「違う、こっちの手…」


「えっ…?」


健吾は私の左手を取り、何かがゆっくりと薬指に感じた。


「ピッタリだ…」


ホッとしたように健吾は 呟いてる。

薬指にはめられたのは小さなハートが乗ってある指輪だった。


「祭りで売ってあるヤツだから安物だし、おもちゃみたいな物だけど七宝焼だって。ミキに似合うと思ってさ…」


「…………」


…えっ…?


…あれっ…私…泣いてる…?
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