彼のとなり、彼女のとなり
「そう、とても可愛い教え子さんね。私、川村 千里です。いつも亨さんがお世話になっています。」


「あっ、いえこちらこそお世話になっています…」


この人の優しい笑顔に、さっきまでの引っ掛かる気持ちが薄れてしまった。


「ミキさん一人で来たの?」


先生の腕に絡んでいる彼女の腕が一層強く絡んでるような…、私の目を離さなかった。


「いえ、私の友達と私の彼氏で来てます」


この言葉に一番動揺したのが先生だった。


「彼氏…?」


先生は私に嘘だと言うような顔を見せる。


「あら、やっぱり可愛いから彼氏が居るのね。ねぇ亨さん、先生としてどんな彼氏さんか紹介してもらいましょう?」


予想外の彼女の発言で先生は驚いてるような、嫌がってるような…、複雑な様子。


彼女は何を焦っているのだろう?

生徒の彼氏なんて普通は興味無いと思うけど…。

その時の私は、ただただ 千里さんのことをあまり気に止めることもなかった。

先生の恋人を見てもショックじゃない。


だって私には健吾という大切な人がいるから…。
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