彼のとなり、彼女のとなり
何処を見ても健吾は見つからなくて…


不安だけが募った。


「ミキちゃんの彼は学生さんなの?」


「いえ、違います…」


健吾を目で探しながら返事をする。


「じゃぁミキちゃんより年上の方なのね。どんな方か益々気になるわ。ねぇ、亨さん?」


「ああ…、そうだな」


そんな二人の会話なんて耳に入らない。


どうしてそんなにも私の彼を千里さんが気になるのだろう。千里さんとは初対面のはずなのに…


それよりも


健吾どこ?


健吾、健吾…。


『えーっ、長らくお待たせしました。これよりお祭りの最後を飾ります、花火大会を始めます。』


花火を知らせるアナウンスが流れた。


もう、健吾どうしたの?


今にも泣きだしそうな私だった。


一発の花火が打ち上げられようとした、


その時だった―――。
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