彼のとなり、彼女のとなり
人混みから遠ざかった。


花火もどんどん小さく見える。


私の手を繋いだまま、だだ歩く。


健吾の顔はどこか思い更けてる感じ。


かなり歩いただろう。


草履を履いてる足が悲鳴をあげてる。


でも健吾を呼び止めたくなかった。


呼んだらきっと千里さんの話しをすると思ったから…。


聞きたくない。


健吾から他の女性の話しを聞くなんて嫌。


私…、まだまだ子供だな…。


歩く足が突然止まった。


そこは誰もいない公園。


「少し休もうか」


と、一つのベンチに座り込んだ。
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