彼のとなり、彼女のとなり
写真館に入ってすぐ 男性は私達に気付いた。

レトロな椅子に座り、カメラを磨いていた。

丁寧に、優しく、

今にも壊れそうな…、

そのくらい大切に扱っていた。

「ミキ、紹介するよ。彼はこの写真館のオーナーであり、プロカメラマンである、平井 一(ヒライ ハジメ)さん。」

「あの、自己紹介遅れてすみません。私、上田ミキ、高校3年です。」

健吾が 私と平井さんの間に入り、互いを紹介する。

「この前は、二人で学校にお邪魔して失礼したね。」

平井さんは どう見ても中年のおじさんだけれど、どこか大人の色気みたいな魅力があった。

白髪混じりの髪も、少し伸びかけた髭も、着てる服のセンスも悪くない。

それに、あの優しい笑顔…。少し見とれてしまう。
「平井さんも、プロのカメラマンなんですか?」

さっき健吾が言ってたから…
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