彼のとなり、彼女のとなり
少し長い髪、顔立ちは、春がとても似合いそうな優しいかんじ……。

「さっきの君、桜にさらわれそうな感じだったよ」 春の軟らかい風が、彼の髪を包む。

「君、ここの学校の生徒だろ?始業式じゃないの?」

「………」
彼の言葉が私の耳に届いてなかった。

「…あっ、もしかして新学期そうそうサボリ?」
ニヤリと笑みを見せなれなれしく私に話し掛けてくる彼。

「ここ、俺の母校なんだ。この桜の並木道が、俺も好きで今日ここに来たんだけど…」

桜を見ながら少しずつ私の方へ寄ってくる彼。

「まっ、君もこの桜が見たくてサボったんだろ?」

この人…、何 一人で勝手に喋ってるんだろ。変な人……
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