彼のとなり、彼女のとなり
「はぁーーーっ」

やっと着いた…。

どっと疲れがやってきた。

とりあえず車を駐車場に止めることにしたんだけど……。

助手席のシートに手を回して 後ろを見ながら駐車する姿に私の胸はストレートにときめいた。

なんだか彼に包まれてるような、守られてる感じになる。

車から降りた健吾は助手席の扉を開けて 私に手を差し出した―――。

「初デート、楽しもう!」

「うん…。」

デート……なんだ。

胸の中がドキドキして、黙り込んでる私に、

優しく手を繋いでくれた。

そんなことをされたら 私が私じゃなくなるほど、ドキドキしてしまう。

「行きたい所ある?」

「えーっと…」

久々の東京だから 行きたい所は沢山ある。

うーん、と考えてると…

「ミキ…、まずはメシにしない?」

お腹を抱えて健吾が言った。

「実は、緊張して朝から何も食べてないんだ。」

「緊張…?」

「もし、今日の誘いをミキに断られたら、ってずっと考えてた。」

えっ……。

何度目かわからないほど私の胸はドキドキした。
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