彼のとなり、彼女のとなり
「ここ…ですか…?」

「そう、ここ。」

着いた先は小さな定食屋さん。

ガラガラ…扉を開け

強引に店にはいった。

「いらっしゃ…、あら!ケンちゃん?!」

中年の女性が明るく私達を迎えてくれた。

店内はお昼の忙しい時間で満席に近い状態。

それでも 女性は私達のために席を確保してくれた。

「おばちゃん久しぶり。相変わらず元気だね。」

「元気が取り柄だからね!」

ひまわりのような明るい笑顔の女性。こっちも表情が明るくなる。

「今日は彼女も一緒なんて嬉しいよ。始めてじゃない?誰かと一緒だなんて。」

えっ…、彼女?私のこと?

「ん…、そうだね。」

えっ?!

どうして 健吾は否定しないの??

「それより、生姜焼定食を二つお願いするよ。」

「はいよー。」

女性は厨房に行ってしまった。

「………」

「………」

私、彼女じゃないのに、どうして健吾は曖昧な返事をしたんだろう…

気になって 健吾に聞きたかったけど、聞けなかった。
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