彼のとなり、彼女のとなり
「今日も遅くまでごめんな。」


家に帰る頃には夜の8時を過ぎることが多くなった。


今日は久々に外で撮影をしたから 普段より遅くなってしまった。


「こっちこそ、夏休みの宿題教えて貰えて助かりました。」


「まだ、勉強忘れてなくて良かったよ。」


少し照れ笑いをしながら頭の後ろに手を回す健吾を見て、可愛いなと思ってしまう。


「ミキ、今日話した旅行の事、考えてみて?」


「はい。友達の若菜にも話してみます。」


「………」


「………」


健吾とよく話すようになったけど、いつも帰る間際は会話が止まってしまう事が多い。


この沈黙に馴れることができなかった。


「あ…あの…、明日撮影休んでしまう事ごめんなさい。」


「補習なんだよな?しょうがないよ。」


そう、明日は補習があって学校に行かなければならなかった。


数学の補習…


三上先生の授業…。


あの図書室での告白から何度か授業を受けない日があったから、補習に出なくてはならなかった。
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