彼のとなり、彼女のとなり
久しぶりの学校はなんだか憂鬱だった。


教室には6人生徒がいて、みんな様々な理由で補習を受けなきゃいけなかった。


たぶん私が一番くだらない理由でここにいるんだろうな……。


三上先生に告白して、顔を合わせたくなくて数学だけサボっていた。


今は先生より健吾のことを思うことが多くなったと思う。


出来れば今日の補習に三上先生が来ないことを願っていたけど……。


ガラガラッ―――。


「全員来てるかぁ?名前呼ぶぞ〜」


やっぱり三上先生なんだ…。

何も変わらない様子の先生は、生徒の名前を呼んでいる。

私はそんな先生を黙って見ていた。


「上田」

「はい」


私も 普段と変わらない態度を装ったけど、きっと先生には見抜けてるんだろうな…。私が先生を見るだけで動揺してることを…。


「補習はプリント数枚で終わりだぞ。」


静かな教室の中、プリントをしながら時々 先生の方に視線が向かった。


視線に気付き先生も私を見てくる。


その目は、何か言いたそうな そんな目をしていた。
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