彼のとなり、彼女のとなり
「終わったー!!」


お昼過ぎに 補習は終わり、あっという間に終わってくれたことにホッと肩を降ろしてしまう。


“若菜と遊ぼうかな〜”


残された時間をどう過ごそうか迷いながら 鞄に教科書などをしまっていた時だった……


「ミキ…」


“えっ……!?”


私のことを呼ぶこの声は…、いつも聞いてたあの人の声…。


私はゆっくり後ろを振り向いた。


「先生…」


先生は真っ直ぐな目で私の方を見ている。


補習を受けていた他のクラスメイトは誰もいなく、教室には私と先生 二人きり…。


二人きりのときだけ 先生は私のことを『ミキ』と呼ぶ。


「帰るのか…?」


「そうですけど…」


「俺も…」


「えっ…?」


「俺も今日はこれで帰るんだ…。だから一緒に帰らないか?」


「先生…」


「そうしろよ。外は暑いから車で送るよ。」


返事を聞くこともなく、話しを進めていく。


少し強引な先生に 私の心の中に軽い動揺が訪れてきた。
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