jam
―次の日―
いつもより念入りに用意して、
芽衣との待ち合わせ
場所に向かった。
半袖のカッターシャツから
覗く細い腕はほんのり
茶色く染まる。
待ち合わせ場所に着き、
芽衣を待っていると、
何人かの男の子たちが
通っていくのが見えた。
楽しそうに笑いながら、
歩いて行く男の子たちの中に、
1人だけ物静かな存在。
―翼くん―
細身の長身に、
こげ茶色の肌は野球部の
彼に良く似合っている。
キリッとした目は、
冷たい印象にも見える。
「―ねねっ!ゴメンっ!!寝坊しちゃったよお。待った!?」
彼にみとれていると、
背後から聞き慣れた声。
芽衣がやっと待ち合わせ
場所に来た。
「ぅうん!私も今来たとこ☆」
彼にみとれていたコトに
気付かれたくなくて、
私は大袈裟に手を振った。
「それより早く行こっ!遅刻しちゃう!!!」
私たちは授業に遅れないよう、
先を急いだ。