“逆”チョコレート大作戦!!
「懐かしいなぁ…」



俺は店頭に置かれた木製の棚から、茶色の鉢に植えられたラブラブハートを手に取るとフッと小さく笑みを零した。



コレ…



俺らが付き合って初めてのバレンタインの時に、



菜々美…



ガトーショコラと一緒にくれたんだっけ。



でっ、そんときの俺ってばガキみたいにめちゃめちゃ喜んで…



菜々美の注意も聞かず毎日欠かさず水やって…



結局、すぐ枯らしちゃったんだっけ。



はははっ…



俺はその時の事を思い出しながらハートの形をした葉っぱをツンツンっと人差し指でつついた。



「マジ懐かし…」



「ラブラブハート…」



「ん?」



突然、俺の持っているラブラブハートを見つめながらニコッと微笑んだオニーサン。



ラブラブハート?



俺はそんなオニーサンとラブラブハートを交互に見ると首を傾げた。



「ラブラブハート…“ホヤベラ”って、タイでは“好きな人にプレゼントすると思いが叶う”って言われているんです。」



「へぇ~」



ラブラブハートって“ホヤベラ”って言うんだぁ…



初めて知った…ってか、



「えっ!!」



俺はラブラブハートを見つめながら声を上げると、相変わらずニコニコするオニーサンを見た。



“思いが叶う”って…



「それ…マジっすか?」



「えっ?」



そしてオニーサンの腕をガシッと掴むと、かなり真剣にオニーサンを凝視した。

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