【短】シャープペンシル〜君と始まった日〜



次の日、俺はあの話をしようと授業を10分前に終えた。



「実は、今学期いっぱいでこの学校を去ることになりました。」



クラスの中はしーんとなった。




「俺は非常勤講師だから、1つの学校にあまり長くいないんだけど、この南高には…5年はいたかな?母校でもあるし、こんなに長く勤められて嬉しかったです。」



そう。
この南高は俺の母校なんだ。



だからかな。


今までいろんな学校に行ってきたのに、今回はいつもより何だか寂しい気持ちなのは。




「このクラスは本当に良いクラスだと思います。授業態度も真面目だし。だから最後のクラスがこのクラスで良かった。」



本当によかった。



このクラスは面白い奴がいっぱいいて、ちょっと騒がしいクラスだったけど、授業は真面目に聞いてくれてた。




俺が今日が最後みたいな挨拶をするから、生徒に突っ込まれた。



クラスのみんなは笑ってる。




だから、君も笑ってるんだろうと思ってちらっと見たら、




君だけ笑ってなかった。




なんでそんな悲しい顔をしてる?




やめとけよ。



俺はもうすぐいなくなるんだから。





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