【短】シャープペンシル〜君と始まった日〜



いつも通り南高で授業を終えた俺は、本業の定時制の高校に向かう為に片付けをしていた。



「伊藤先生はチョコもらったの?」


「いえ。大道先生は今年も大変そうですね。」



大道先生は俺と同じ地歴担当の先生で、背が高く、色黒で学校一格好良いと女子生徒からの人気が高い。


男の俺から見ても、大人の色気があるし、文句なしで格好良いと思う。



これで子供2人いるとは思えない…。




大道先生は自分の机の横に置いてある袋に目をやって、苦笑した。


「もらえるのはありがたいけど、毎年食いきれないんだよ。サッカー部の顧問が太ってたら、サッカー教えても説得力なくなるしな。」


「いいじゃないですか、もらえるだけ。俺なんてこの学校じゃ影薄いですから。」


「まぁそう言うなって!試験に合格したら、お姉ちゃんの店に連れてってやるからさ!」



俺は、いいですよーと言いながら地歴講義室を出て車に向かった。




そう。

俺は愛だ恋だなんて言ってられない。



夢がある。




今はそれしか頭にないから。





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