【短】シャープペンシル〜君と始まった日〜
定時制に着いて、慌ただしく授業の準備をする。
俺の本業、川上定時制高校は年齢も世代もバラバラな中で授業を行う。
いわゆる夜間高校だ。
俺が教室に入ってくるなり、一人の生徒が何かを渡してきた。
「はい、伊藤!どうせバレンタイン一つももらえてないんでしょ?クラスの女子から!」
そう言ってチョコレートが入っているであろう袋を差し出す。
「どうせは余計だって。ありがとう。」
俺はこっちでは担任を持っている。
夜間に通うだけあって、教師にはタメ口だし、今みたいに呼び捨てだし手がかかる。
だけど、正面からぶつかればみんな良い奴らばっかり。
ただ不器用なだけ。
こうやってチョコもくれるし。
だから教えがいがある。
みんな俺の可愛い生徒たち。
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