初めてのキス
前から覚えのある顔をした人が歩いてきた。

!! カオル? 俺は目を疑った。

「よお 香織―」

「あらー」

俺はしばらく何が起こったか分からなかった。

「春樹― 紹介する。妹の香織・・私、実は双子なのー」

「えっ?」

俺が動揺を隠せないでいると、香りはいきなり俺の腕をつかんで自分の胸に持っていった。

「あれ?」

香りは胸がなかった。

「実はね、あたし体は男なの・・」

「まさか・・」

俺はハッとした。

「そうなの」

カオルが言った。

「私たちどっかで間違っちゃったのよねー」

俺は頭がこんがらがってきた。

しかしカオルと会った時点でもう大概のことには驚かない、つまり免疫ができていたの

がせめてもの救いだった。

世の中なんて間違いだらけだ。正しい人間なんていない、自分も含めてみんな愚かだ。

自然を破壊する人間なんて・・・

俺の頭は目の前の事実から逃げようと必死だった。

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