初めてのキス
実は俺にもありました。
俺は思ったんです・・
そんな偏見があるから、悩める専業主婦の精神状態に誤診があるのでは?と。
精神科医に男女の偏見があっては、主婦業に専念する人を救えない。
主夫になったら、家事だけで日々終わる主婦の精神状態がわかるのでは?と。
別に医者の資格を失ったワケじゃないし。
復帰も可能ですよ。しからば主婦の仕事をしてみようと思ったのです。
まず、これを極めてから、兼業しようかと(^^ゞ専業主夫に徹してみれば、専業主婦の精神状態が解る!極めるって、そういうことじゃないすか?」

春樹「ふーむ・・・」

轟「それに先輩・・俺は今、心療内科に通院しています」

春樹「ええ!何だって?」

轟「主夫業に空しさを感じ始めています。ヤメタことを後悔しはじめています」

春樹「うんうん、そうだろうよ」

轟「いいえ!これでいいのですよ!この調子で病んでいく・・。これじゃないすか?こんな気分になるんじゃないすか?先輩!俺はもう少しで極められる・・そう思って主夫を続けているのです」

春樹は思わずエミの顔を見た。

エミ「患者に与える薬を飲んでるアナタと同じね。わが身において、実験したなんて・・」

春樹はゾッとした。

春樹「そういえば・・、俺が患者の薬を試しのみし始めたのは・・あの患者を診るようになってからだ・・いったい何者なんだ?」

その時、突然、轟の携帯が鳴った。どうやらメールらしい。

轟がちょっと極まり悪そうな顔をしながら短い返信をした。

轟「彼女から、なんです(^^ゞ」

エミ「奥さん?」

轟「いえ。まぁ・・、なんていうか・・主夫業の愚痴をこぼしていたら、ついつい親しくなった女友達です。妻には内緒ですよ・・今の仕事は俺が選択したことだから、愚痴はいえないし(^^ゞ」

春樹「不倫か・・」

轟「そうとも言いますね。でも、妻と別れる気はないのです。今は養ってもらってますから」

エミ「別れなさい」
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